爆サイで開示請求できる内容とは?対象になる書き込み・ならない書き込みの違いを解説

爆サイ

爆サイに自分のお店や名前についての書き込みを見つけて、「これは開示請求で相手を特定できないのか」と考えている経営者・オーナーの方は多いのではないでしょうか。売上や信用に直結する問題だけに、一日でも早く手を打ちたいと感じるのは当然のことです。

一方で、実際に調べ始めると「どんな書き込みなら開示請求の対象になるのか」がわかりにくく、手が止まってしまいがちです。そこでこの記事では、爆サイで開示請求の対象になりやすい書き込みと、なりにくい書き込みの違いを、法律の考え方に沿って整理します。

先に結論をお伝えすると、開示請求ができるのは「他人の権利を侵害していることが明らかな書き込み」に限られます。単なる悪い口コミや主観的な批判は、原則として対象になりません。この線引きを理解しておくと、次の一歩をぐっと判断しやすくなります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の書き込みが開示請求の対象になるかどうかは、内容や状況によって結論が変わります。実際の対応を検討する際は、弁護士へご相談ください。

そもそも「開示請求」とは?「削除」とは別の手続きです

まず押さえておきたいのが、「開示請求」と「削除」はまったく別の手続きだということです。ここを混同すると、対策の方向性を誤ってしまいます。

開示請求=「誰が書いたか」を特定する手続き

正式には「発信者情報開示請求」と呼ばれ、匿名で投稿した人物の氏名や住所などの情報を、サイト運営者やインターネット接続業者(プロバイダ)から開示してもらう手続きです。根拠となるのは、旧「プロバイダ責任制限法」が改正・改称され、2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)です。

投稿者を特定できれば、その相手に対して損害賠償(慰謝料)を請求したり、悪質なケースでは刑事告訴を検討したりといった、次の法的措置につなげられます。

「消したい」だけなら、目的が違います

これに対して「削除」は、書き込みそのものを画面から消すための手続きで、投稿者が誰かを特定するものではありません。

  • とにかく書き込みを消したい → 削除の手続き
  • 書いた相手を特定して責任を追及したい → 開示請求の手続き

目的によって選ぶべき手段が変わります。この記事では、このうち「開示請求」に絞って、対象になる内容・ならない内容を見ていきます。

結論:開示請求できるのは「権利侵害が明白な書き込み」

開示請求が認められるためには、法律上いくつかの要件を満たす必要があります。なかでも実務で最も問題になるのが、「権利侵害の明白性」という要件です。

これは単に「権利が侵害されていそう」というだけでは足りず、権利侵害の事実があり、かつ、それが違法とされない事情(違法性阻却事由)をうかがわせる状況も見当たらない、という水準まで求められるものです。匿名で投稿した側にもプライバシーや表現の自由がある以上、それを覆してまで身元を明かすには、それ相応の明確さが必要だと考えられているためです。

言い換えると、開示請求は「気に入らない書き込みを特定するための道具」ではなく、明らかに一線を越えた書き込みに限って使える、例外的な手段だということです。この前提を踏まえて、具体例を見ていきましょう。

開示請求の対象になりやすい書き込み(できる内容)

店舗経営者の方が被害に遭いやすい類型を中心に、対象になりやすいものを整理します。

事実を示して信用・評価を下げる書き込み(名誉毀損・信用毀損)

具体的な事実を挙げて、お店や経営者の社会的評価を下げるような書き込みは、名誉毀損や信用毀損にあたる可能性があります。たとえば次のようなものです。

  • 「あの店は食中毒を出した」(そのような事実がないのに書かれた場合)
  • 「店長が客の金を盗んでいる」
  • 「使い回しの食材を出している」

いずれも「事実として」書かれており、それが虚偽であれば、お店の信用に直接ダメージを与えます。店舗ビジネスにとっては特に深刻な類型で、事業への妨害という側面から評価されることもあります。

事実を示さなくても、度を越した侮辱(名誉感情の侵害)

具体的な事実を挙げていなくても、社会通念上がまんできる限度を明らかに超えた侮辱的な表現は、名誉感情の侵害として対象になり得ます。単なる悪口の域を超え、人格を著しく傷つけるようなケースが想定されます。

なお、この「名誉感情」は個人(人間)に認められるものと考えられており、会社そのものに向けられただけの侮辱は、この枠組みでは対象になりにくい点に注意が必要です。この点は後述します。

プライバシー・個人情報の暴露

経営者個人の自宅住所や電話番号、家族関係、病歴など、他人に知られたくない私生活上の事実を勝手に書き込む行為は、プライバシー侵害にあたり得ます。事実かどうかを問わず、公開されること自体が問題になる点が、名誉毀損とは異なります。

なりすまし

経営者本人や店舗になりすまして書き込みを行い、あたかも本人が発言・投稿したかのように見せる行為も、状況によっては権利侵害として対象になり得ます。

開示請求が難しい書き込み(対象になりにくい内容)

一方で、「腹は立つけれど、開示請求の対象にはなりにくい」書き込みも数多くあります。ここを正しく理解しておくと、費用や手間をかけたのに認められない、という事態を避けやすくなります。

単なる感想・低評価・主観的な批判

「まずかった」「接客が最悪」「二度と行かない」といった、書き手の主観的な感想や評価は、たとえ内容が厳しくても、原則として権利侵害とは認められにくいものです。表現の自由との兼ね合いから、こうした意見は一定程度保護されるためです。

意見・論評にとどまるもの

「経営方針に疑問を感じる」「値段の割に…」といった、意見や論評の範囲にとどまる書き込みも同様です。事実を摘示しているのか、それとも評価・感想なのかで、扱いが大きく変わります。

内容が真実で、公益目的で書かれている場合

たとえ社会的評価を下げる内容でも、書かれていることが真実で、公共の利益に関わる目的で投稿されていると評価される場合には、違法性がないと判断されることがあります。つまり「事実として本当に起きたこと」を指摘された書き込みは、開示のハードルが高くなります。

対象(誰のことか)が特定できない書き込み

誰・どの店のことを指しているのか判然としない書き込みは、そもそも「あなたの権利が侵害された」と言いにくく、対象になりにくくなります。

会社そのものへの「侮辱」だけのケース

前述のとおり、名誉感情の侵害は基本的に個人に関するものと考えられています。そのため、具体的な事実を伴わず、法人そのものへの罵倒にとどまる書き込みは、開示請求のハードルが上がる傾向があります。

内容が対象でも「時間切れ」に注意|ログの保存期間

見落とされがちですが、開示請求はスピードが命です。投稿者を辿るために必要な通信記録(ログ)を、プロバイダは永久に保存しているわけではありません。保存期間は3〜6か月程度とするところが多いとされ、これを過ぎると記録が消えてしまい、対象になる書き込みでも投稿者を特定できなくなる可能性があります。

「対象になりそうだ」と感じた書き込みは、まず投稿日時がわかる形でスクリーンショットを保存し、早めに動き出すことが大切です。

費用・期間の目安(一般論)

費用や期間は、事務所や事案によって大きく変わります。以下はあくまで一般に示されている目安であり、金額を保証するものではありません。実際の見積もりは、依頼先へ直接ご確認ください。

  • 費用:弁護士に依頼した場合、総額でおおむね数十万円程度(30万円〜60万円以上とされる例もあります)。着手金と成功報酬に分かれることが一般的です。
  • 期間:数か月から1年程度が目安とされますが、相手方の対応や手続きの進み方によって変動します。

注意したいのは、「費用倒れ」のリスクです。特に侮辱系の事案では、認められる慰謝料が数万円〜十数万円にとどまることもあり、かかった費用を回収しきれない場合があります。開示請求に進む前に、目的(特定して謝罪させたいのか、賠償を得たいのか、再発を止めたいのか)を整理しておくとよいでしょう。

開示請求は弁護士への相談が現実的です

発信者情報開示請求は、裁判所を通じた法的手続きです。2022年10月に新設された「発信者情報開示命令」という非訟手続によって、従来より手続きがまとまりやすくはなりましたが、それでも書き込みがどの権利侵害にあたるのかの整理や、要件の主張・立証は、専門的な知識を必要とします。ご自身だけで進めるのは、現実的にはかなり難しいのが実情です。

また、爆サイ側の申請窓口や必要書類の運用は変更されることがあります(申請方法が見直された経緯もあります)。最新の手続きは公式の案内を確認しつつ、対応を進めるのが安全です。

「この書き込みは対象になるのか」「費用に見合うのか」を含めて、まずは弁護士に相談し、見通しを立てたうえで判断することをおすすめします。

まとめ

最後に要点を整理します。

  • 開示請求と削除は別物。特定したいなら開示請求、消したいなら削除の手続き。
  • 開示請求ができるのは、権利侵害が明白な書き込み(事実を示した名誉毀損・信用毀損、度を越した侮辱、プライバシー暴露、なりすましなど)。
  • 単なる低評価・感想・意見、真実の指摘、対象が特定できない書き込みは、対象になりにくい。
  • ログの**保存期間(3〜6か月程度)**があるため、早めの証拠保存と行動がカギ。
  • 手続きは専門的なので、弁護士への相談が現実的。

自分のお店への書き込みが対象になるかどうかは、文言の一つひとつで結論が変わります。まずは書き込みを保存し、「事実か、感想か」「特定できるか」という視点で見直すところから始めてみてください。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。また、開示請求の結果を保証するものでもありません。個別の判断については弁護士にご相談ください。掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、法改正や各サイトの運用変更により変わる可能性があります。

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